2023年1月~8月まで、Instagramで紹介されたおすすめの本の紹介です。(書影なし)8月 ーテーマ:ファンタジーー『白銀(しろがね)の墟(おか) 玄(くろ)の月』小野 不由美/著新潮社刊 戴国(たいこく)泰王が即位から半年で消息を絶ち、麒麟・泰麒も姿を消した。王不在から六年の歳月、人々は極寒と貧しさを凌ぎ生きてきた。国を案じる将軍李斎は慶国(けいこく)景王、雁国(えんこく)延王の助力を得て、蓬莱から泰麒を連れ戻すことが叶う。今、故国に戻った泰麒の戦いが幕を開ける。所蔵館:中央館 高尾野館30年も続く「十二国記」シリーズの戴国編です。全4巻ありますので、「十二国記」シリーズを読んだことのない方も読んでみてはいかがでしょうか。『箱庭の巡礼者たち』恒川 光太郎/著KADOKAWA 少年・内野聖は、洪水で流れ着いた小さな黒い箱を拾った。その箱は不思議な別世界と繋がっていた。王族が圧政を敷き、竜が生まれ、吸血鬼が人知れず夜を歩く、そんな「箱庭世界」の観察が青春だった。ある日、観察仲間のクラスメイトの絵影久美が箱の中に行くと言い出す。(「箱のなかの王国」)所蔵館:中央館次元の違う異世界のお話6編と、それを繋げるサイドストーリー5編の物語の連作集。箱庭の世界から最後は壮大な世界へ。何万年もの世界が廻る壮大なファンタジーです。『火狩りの王』日向 理恵子/著ほるぶ出版 🔥最終戦争の後の世界🔥 人類は、最終戦争前に開発・使用された「人体発火病原体」に侵されていた。そばで天然の火が燃焼すると、体の内側から発火して燃え上ってしまう。そのため、人が安全に扱える<火>は、黒い森に潜む獣、炎魔から採れる<火>だけだった。 11歳の少女の灯子(とうこ)は、紙漉(かみすき)の村に生まれ、禁じられた森に入って炎魔に襲われたところを、火狩りに助けられた。しかし、命の恩人である火狩りは死んでしまったため、灯子は形見を家族に返す為、首都へ旅立つことに・・・。所蔵館:中央館児童文学作品ですが、大人も楽しめる近未来のファンタジーです。シリーズ4巻と外伝を合わせて5冊ありますので、夏休みの間、ゆっくり読んでみてはいかがでしょうか。2023年1月にはアニメ化されました。『かがみの孤城』辻村 深月/著ポプラ社 あることがきっかけで中学校に行くことができなくなったこころ。閉じこもる生活が続く中、ある日突然部屋の鏡が光りはじめ、こころは鏡の中に吸い込まれてしまう。気がつくと、まるで西洋の童話に出てくるような城があった。そこには狼の面をつけた小さな女の子が待ち受け、こころと同じ年頃の6人の子どもたちが集められていた。 こころたちはなぜこの城に集められたのか?それぞれが抱える事情と秘めた願いとは?所蔵館:中央館 高尾野館 野田館ファンタジーですが、心理描写などがとてもリアルで普段ファンタジーを読まない方にもおすすめの一冊です。本屋大賞他、数々の賞を受賞。2022年に映画化。7月 ーテーマ:平安時代ー十二単衣を着た悪魔内館 牧子/著幻冬舎 いくつもの会社を受けたものの、内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。それに比べ、弟は頭脳も用紙も超一流。ある日突然、 『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する弘徽殿女御と手を組み暗躍を始めるが・・・・・・。所蔵館:中央館『源氏物語』での憎まれ役である弘徽殿女御サイドから描かれた物語。源氏物語をユニークな視点でとらえており、引き込まれる面白さ!源氏物語が好きな方や読んだことない方にもおすすめです。古典の裏松村 瞳/著笠間書院 平安時代に書かれた『枕草子』『源氏物語』……学生時代に、作品の一部を授業で読まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか? この本では、その2作を始めとした古典の裏話を、作者や時代背景と絡めて紹介しています。 どうして「春はあけぼの」の一節に昼は出てこないのか?源氏物語が人気だった理由とは?所蔵館:高尾野館 この本を読めば、当時読んだ作品がより趣深く、人間味のあるものに感じられるかもしれません。百夜高樹 のぶ子/著日経BP日本経済新聞出版 小野小町といえば、平安時代を代表する優れた歌人にして絶世の美女として知られています。 美しい小町に心を奪われた深草少将に、小町は自分の元に百日通ってくれたら思いを受け入れると伝えた「百夜通い」をはじめ、美人で高飛車、やがて老いさらばえ惨めな晩年を過ごした…など、数々の伝説が伝えられています。しかし、実は生没年やどのような人生を送ったかは分かっていません。所蔵館:中央館 野田館本作では美しい雅文で、歌を拠り所に伝説とは異なる小町の姿が描かれています。百夜通いの真実とは…?平安時代を生きた小野小町という一人の女性の歌、恋、そして人生を味わってください。新編本日もいとをかし!!枕草子小柳 裕美子/著KADOKAWA 気持ちいいほど正直な清少納言のエッセイをコミカライズした本です。 中宮・定子との美しい思い出や、イケメン貴族たちのロマンスのお話も満載です。所蔵館:中央館いつの時代でも変わりない女性の姿に共感します。古典が苦手、枕草子を読んだことない方はもちろん読まれた方も、楽しめるおすすめの一冊です。はなとゆめ冲方 丁/著KADOKAWA 一条帝の妃である中宮定子の女房として仕えることになった清少納言。当初は恥じ入るばかりであったが、優しく聡明な定子に導かれ、次第にその才能を開花していく。 華である定子を中心とした、機知に富んだ輝かしい日々。 しかし、その幸福は長くは続かず、輝く華は藤原道長との政争に巻き込まれていき…所蔵館:中央館 高尾野館 野田館華が失われたとき、「花を見ることは果たして嘆くべきことなのか」。「春はあけぼの」の書き出しで有名な『枕草子』はどのような思いで執筆され、いかにして世に出ることになったのか。清少納言の語りで最愛のあるじ定子への思いを綴る物語です。童(わらべ)の神今村 翔吾/著KADOKAWA 平安時代に「童(わらわ)」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛・・・などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人から蔑まれていた。一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれた桜暁丸(後の酒吞童子)は、父と故郷を奪った京人に復習を誓っていた。 様々な出逢いを経て、桜暁丸は童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑む。所蔵館:中央館桜暁丸と一緒に戦う童たちが、どんな人であろうと共に手をとりあって生きる世の中をつくるために、命をかけて生き抜いた姿を描く物語です。安倍晴明、渡辺頼光、渡辺綱、坂田金時など英雄が出てきます。平安時代を舞台にした小説を読んでみたい方におすすめです。6月 ーテーマ:和菓子-甘いもんでもおひとつ田牧 大和/著文藝春秋 江戸時代、小さな菓子屋『藍千堂』を営む晴太郎と幸次郎。叔父が経営している菓子屋『百瀬屋』からしばしば嫌がらせを受けつつも、兄弟の機転と藍千堂を慕う人々、そして美味い菓子さえあればなんのその! 季節折々の自然を模した美味しい菓子は身分の垣根なく人々の心を和ませる。6篇の話ごとに和柄のページがあり、眺めても季節ごとの色合いが味わい深い一冊です。読売屋お吉 甘味とぉんと帖五十嵐 佳子/著祥伝社 両親の死後、女手ひとつで妹弟を育てた25歳のお吉は、とびきり甘味好きで菓子屋で働いていた。しかしその店が暖簾を下ろすことに。新しい就職先が決められずにいたお吉は、ひょんなことから、読売書き(今の新聞)見習いになる。 人気者のお気に入りの菓子を紹介するため、歌舞伎役者の市川園十郎と尾上菊五郎に初取材したが、園十郎の亡き父との思い出の一品を捜すことに・・・。和菓子屋の女中から読売屋の書き手に転職した主人公が、見習いから読売書き手に成長を遂げていくお話です。和菓子迷宮をぐるぐると太田 忠司/著ポプラ社 主人公の大学生・涼太は美しさを数式で表現するなどの理系頭脳。そんな彼が美しい「和菓子」に出会い、その「美味しさ」に魅せられてしまった。すっかり和菓子の世界の虜になり、大学院に進まずに和菓子職人になるため、製菓専門学校に入学してしまう。すべてを1か0かで考えてしまう理系的思考の涼太が個性豊かな学生たちとともに和菓子作りに奮闘する成長物語。読み終えた頃には、和菓子が食べたくなるかも・・・。深川二幸堂菓子こよみ知野 みさき/著大和書房 深川で菓子屋「二幸堂」を始めた兄・光太郎と弟・孝次郎。 社交的で美男の兄と、子供の頃の火事で負った火傷のため消極的だが腕の良い菓子職人の弟。2人で始めた小さな菓子屋には弟の作るお菓子を求めて様々な人達がやってきます。舞台は兄弟で営む江戸の菓子屋「深川二幸堂」、美味しい和菓子に恋の行方、そこに関わる街の人々との人情物語です。全三巻所蔵していますので、読んでみてはいかがでしょうか。おはようおかえり近藤 史恵/著PHP研究所 小梅は、曾祖母が起こした70年続く和菓子屋で黙々と働いています。それに対し、2歳年下の大学生のつぐみは、まるでつばさが生えたように自由奔放に勉強、趣味の演劇、アルバイトにと夢に向かい忙しく過ごしています。 ある日、つぐみの体に43年前に亡くなった曾祖母の魂が乗り移り、小梅にあるお願いをします。 つぐみに比べ、自分にはつばさが無いと思っていた小梅でしたが、曾祖母の秘密を辿るにつれ、自分の仕事や将来、家族への想いに向き合うことになり…優しくあたたかな家族の物語です。ぜひ、読了後のデザートには美味しいきんつばをご用意ください!まるまるの毬(いが)西條 奈加/著講談社 お君ちゃん、今日の菓子はなんだい? 江戸は鞠町の菓子舗「南星屋」。 ここでしか買えない日本全国、名菓の数々で繁盛している。それは、若い時分に全国修業に出て、主人の治兵衛が自ら歩いて覚えた賜物である。 武士から転身した変わり種の店主・治兵衛、菓子のことなら何でもござれ驚異の記憶力を持つ出戻り娘のお永、“看板娘”の孫のお君と親子三代で切り盛りしている。 でもこの一家、実はある秘密を抱えていて・・・・・・。江戸時代、親子三代で営む菓子舗を舞台に、美味しいお菓子とともに降ってくる困難を乗り越えていく人情溢れる物語です。続編の『亥子ころころ』『うさぎ玉ほろほろ』と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。5月 ーテーマ:みどりー植物図鑑有川 浩/著角川書店 会社の吞み会の帰り道、平凡な会社員のさやかの前に落ちていたのは行き倒れになっていたイケメンでした。「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」「咬みません。躾のできたよい子です」 思わず拾ってしまった躾のよい子の名前はイツキ。イケメンの上、穏やか、礼節を弁え家事は万能、そして重度の植物オタクでした。イツキは一泊のお礼にと作った朝食でさやかの胃袋を鷲摑みにしてしまいます。 家事が苦手なさやかは行く当てのないイツキに家事手伝いとして同居する契約を提案し…所蔵館:中央館 高尾野館 野田館フキノトウ、フキ、ツクシ…イツキが作る四季折々のおいしそうな道草料理と蘊蓄が楽しい、ちょっぴりほろ苦く、甘~~~~~い恋愛小説です2016年映画化されました。緑の窓口 ―樹木トラブル解決します―下村 敦史/著講談社 区役所に勤め心身共に疲弊していた天野優樹は、イケメンで花粉症の酷い先輩と共に、区民の樹木トラブルを解決する部署「緑の窓口」への異動を命じられる。二人で相談先の自宅へと向かうと、そこには以前桜並木で見かけた、清楚で麗しく――ちょっと変わり者の樹木医「柊紅葉」がいた。 「全ては樹木が語ってくれました」根っこのように複雑に絡み合った人間関係や謎が、二人によって解決されていく!所蔵館:中央館 高尾野館ドラマのようなテンポのよさと軽い語り口で、樹木の知識も学べる一作です。ストロベリーライフ萩原 浩/著毎日新聞出版 突然、父親が倒れ帰省した望月恵介に手渡されたのは2冊の苺栽培の教本。音信不通の間に、野菜農家である父親は多額の設備を投資し、苺栽培を始めていた。 後を継ぐことを迫る母親。しかし、恵介は東京の生活とグラフィックデザイナーとしての夢を捨てられない。何より農家なんてかっこ悪いと思っている恵介は、人生の岐路に立たされる。所蔵館:中央館富士山麓のイチゴ農家を舞台に、農家ぎらいの長男が、つぶれかけたイチゴ農家の再起を賭ける”甘くな~い”お仕事小説です。農ガール、農ライフ垣谷 美雨/著祥伝社 派遣切りに遭った日、6年も同棲していた家族同然の恋人から突然の別れを切り出された水沢久美子、32歳。さらに、結婚前提で付き合っている彼女と住むので早く部屋から出て行ってほしいと言われ、住む家まで失うことになります。 どん底の崖っぷちに立たされた久美子が偶然目にしたのは「農業女子特集」というテレビ番組でした。農業に活路を見出した久美子でしたが、世の中そんなに甘くはなく、夢と希望に満ちた農ライフのはずが、その道は厳しいもので… 次々と立ちはだかるピンチに久美子はどう立ち向かっていくのでしょうか?奮闘する久美子の姿に元気と勇気をもらえます。 様々な社会問題を扱いながらもテンポ良く読みやすいエンタメ小説になっています。ぜひ爽快な読後感を味わってみてください!先生のお庭番朝井 まかて/著徳間書店 庭師の修行中の熊吉(こまき)はオランダ商館のシーボルトの庭師として雇われた。熊吉は工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げ、先生(シーボルト)と妻のお滝の信頼を得てゆく。 四季折々の草花に魅入られ、日本の花木を故国に輸送したいという先生の願いを叶えるため、熊吉は様々な工夫をしていく。 長崎の出島を舞台にした、日本の植物に魅せられた異国人と日本人の青年の物語です。 シーボルトといえば、日本国外に持ち出すことを禁じられていた日本地図などを持ち出そうとした「シーボルト事件」が知られています。熊吉も実在した庭師です。 歴史を学ぶ気持ちになって読んでみてはいかがでしょうか。4月 ーテーマ:図書館・図書室ー税金で買った本ずいの/原作 系山冏/漫画講談社 小学生のとき以来、久しぶりに図書館を訪れた石平くん。10年前に借りた本を失くしていたことをきっかけに、あれよあれよとアルバイトすることに!ルールに厳しくも図書を愛してやまない仲間が贈る、読むと図書館に行きたくなる図書館お仕事マンガです。 現在1〜5巻まで所蔵しています。夜明けの図書館埜納 タオ/著双葉社 新米司書の葵ひなこが図書館で利用者の調べものや探しもののお手伝いをする「レファレンス・サービス」に奮闘するお仕事マンガです。 全7巻所蔵しています。図書館を舞台にした漫画もちょっと読んでみませんか?図書館のお仕事や本の知識など知ることができますよ。図書室のキリギリス竹内 真/著双葉社 離婚した詩織は、就職先を探しているときに、学校司書の募集があると知り、運よく採用され働き始める。 詩織は人に言えない秘密があり、その秘密で彼女に持ち込まれる様々な謎を解いていく。図書室が舞台の、司書というお仕事小説でもあり、高校生たちの進路や生き方を見つめて、本を手掛かりにした謎解きもある青春小説です。この『図書室のキリギリス』が第一作目、『図書室のピーナッツ』が第二作目、『図書室のバシラドール』が第三作目とシリーズ三部作となっています。まとめて読んでみてはいかがでしょうか。教室に並んだ背表紙相沢 沙呼/著集英社 本を読むのが好きな人、ズルするための調べものに来た人、他に居場所がなくて辿り着いた人――。中学生たちはそれぞれの思いを胸に抱きながら図書室に辿り着き、“しおり先生”に出会う。「書架に収められている本が、誰かに読まれることを待っているのだとしたら。あたしも、誰かに読んでもらいたいのだろうか。」思春期を生きる子どもたちの人間関係・心の動きが本を通じて繋がる物語。今、学生の人も、昔そうだった人にもおすすめの一冊です。図書室のはこぶね名取 佐和子/著実業之日本社 主人公の百瀬花音は運動部女子で、怪我をしてただいま運動禁止中。学校は体育祭準備中で盛り上がる中、図書委員会の仕事を代打で引き受けて、10年前に貸し出されたままだった、エーリッヒ・ケストナーの『飛ぶ教室』を見つける。 なぜいま10年間貸出中の本が図書室に戻ってきたのか。間に挟まれていたメモの謎とは? この謎を知りたくなり花音は動き出す・・・。物語は、月曜日から日曜日まで描かれていき、最終日に謎が判明するという軽い謎解きと体育祭の名物である土曜ダンスをめぐる、生徒会、先輩後輩、先生などの友情と恋愛要素も加わり、ワクワク感のある青春小説です。花野に眠る 秋葉図書館の四季森谷 明子/著東京創元社 大都市から近くも遠くもなく、そこそこの距離にある秋庭市の町はずれの野原に囲まれて建つ秋葉図書館。 のどかなこの図書館で、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。だが相変わらず利用者はあれこれと謎を持ち込み、文子を悩ませる。絵本にお菓子に料理に・・・・・・と、さまざまな謎を、本や先輩司書の力を借りて解決を目指す。そんな中、お隣の地所から驚くべきものが発見される!著者の森谷明子さんは、元図書館司書で、そのときの経験と知識が、この本にたっぷり詰まっています。本好きに捧げるやさしい図書館ミステリを、前作の『れんげ野原のまんなかで』と一緒に読んでみてはいかがでしょうか。本と鍵の季節米澤 穂信/著集英社 堀川次郎と松倉誌門(しもん)は高校2年の図書委員。 ある日、図書委員を引退した先輩女子が訪ねてきた。彼女は亡くなった祖父が遺した開かずの金庫の鍵の番号を探り当ててほしいというのだが・・・・・・。図書委員の男子高校生ふたりが挑む謎解きの物語です。続編の『栞と嘘の季節』と合わせて読んでみてはいかがでしょうか。3月 ーテーマ:お仕事小説ー仕事のやりがいや喜びについて考えさせられるような、様々な仕事を頑張る主人公の小説を紹介します。花屋さんが言うことには山本 幸久/著ポプラ社 主人公・紀久子が美大のデザイン学科を卒業し、就職した会社はブラック企業だった。休日出勤は当たり前、パワハラ・セクハラに悩んだ挙句、会社に辞表を提出し上司から呼び出しを受けていた紀久子は、深夜のファミレスで駅前で花屋を営む女性・李多(りた)に助けられる。グラフィックデザイナーとして再就職先を探す間、紀久子は花屋のバイトを引き受けることにする。花屋での仕事を通して、たくさんの人と関わる中でショップカードや包装紙など念願だったデザインの仕事も頼まれるようになり…。所蔵館:中央館 野田館花を買い求める理由は人それぞれ。引っ越してしまう友達へ、大好きな家族へ。物語を楽しみながら花言葉や花に関する豆知識なども詳しく知ることができます。 町のお花屋さんを舞台にした新生活が始まる春にぴったりなお仕事小説、心がぱっと明るくなるような素敵な表紙にも注目です!転職の魔王様額賀 澪/著PHP研究所 未谷千晴は新卒で業界最大手の広告代理店に入社したものの、上司からのパワハラによって心身のバランスを崩して退職を余儀なくされた。 3か月たってやっと次の職場を探す気になるところまで復調した千晴は、叔母が社長として働く転職エージェントのシェパード・キャリアに登録する。 千晴を担当することになったアドバイザーは、叔母が自らスカウトした元商社マンの来栖嵐(通称・魔王様)だった。所蔵館:中央館転職活動を支援する人材派遣会社を舞台にした連作短編集です。本当に自分が仕事に求めるものは?仕事に対する価値観を問われます。現在就職活動や転職活動のまっただ中にいる人はもちろん、仕事をしている人、していない人にも読んでもらいたい一冊です。イマジン?有川 ひろ/著幻冬舎 憧れていた映像制作の現場に飛び込んだが、専門用語が飛び交う慣れない現場で苦労する良助。作品と向き合う仲間たちの熱気に、焦がれるような思いを募らせ、やがて本格的に映像の世界へ足を踏み入れる。所蔵館:中央館 野田館ドラマや映画を制作を陰で支える制作会社で働く人々を描いた作品です。上流階級 富久丸百貨店外商部高殿 円/著光文社 天下の富久丸百貨店芦屋川店で、外商員として働く鮫島静緒は、日本一の高級住宅街・芦屋に住む本物のセレブたちに、時計やダイヤの指輪を持参してお買いものをしていただく仕事をしている。顧客の要望を応えるため、そしてマンネリ感満載の百貨店業界を立て直すため人脈をフル活用して全力で奔走する。所蔵館:中央館 高尾野館セレブの方にお買い物していただく百貨店の外商というお仕事小説です。2015年にテレビドラマ化されました。店長がバカすぎて早見 和真/著KADOKAWA 随分と思い切ったタイトルですが、最後まで読んでみると納得のタイトルです。主人公谷原京子は〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。30を手前にして憧れていた先輩は去り、名前ばかり勇ましい山本猛店長をはじめ、小説家、弊社の社長、営業、神様、そして私のバカすぎる面々に翻弄されイライラする日々を過ごしています。職場環境に不満はあるし、自分の将来だって不安。心の中で何度も「辞めてやる!」と毒づきながらも、本が好きという思い、そして書店員としての誇りや仕事のやりがいに揺れ・・・所蔵館:中央館 野田館連作短編集ですが、各話のあれやこれやが少しずつつながってラストは驚きの展開に。はたして店長は本当にバカなのか、それとも・・・?本好きな人はもちろん、仕事のストレスを抱えながらも頑張っている人におすすめしたいお仕事小説です。続編の『新!店長がバカすぎて』もあわせてどうぞ。2020年本屋大賞ノミネート作。声のお仕事川端 裕人/著文藝春秋 いまだ目立った実績のない声優の結城勇樹は、背水の陣で挑んだ野球アニメ「センターライン」のオーディションで、ついにレギュラーを掴むが、その役は・・・・・・なんと犬⁉︎所蔵館:中央館テレビや映画などで身近ではあるけれど、知らないことの多い声優の世界。収録はどのように行われていて、どんな日常生活を送っているのか、リアリティのあるお仕事小説です。和菓子のアン坂木 司/著光文社 食べるの大好き、もちもちぽっちゃりした梅本杏子(うめもときょうこ 通称アンちゃん)は、高校卒業後、デパ地下の和菓子店「みつ屋」でアルバイトをする18歳。将来の夢は、自分のお金でおなかいっぱいお菓子を食べること。初めての職場に戸惑いながらも、個性的な店長や同僚に囲まれて日々和菓子の勉強中!お客さんから舞い込む謎をお菓子の力を借りて解決していきます。所蔵館:中央館 野田館和菓子の魅力がぎゅぎゅっとつまったほっこりお仕事小説です。和菓子に詳しくない人も大丈夫!新人アンちゃんと一緒に奥深い和菓子の世界を楽しんでください。続編の『アンと青春』『アンと愛情』も一緒にどうぞ!ドルフィン・ディズ!旭 晴人/著KADOKAWA プライドが高いがゆえに就職が決まらなかった蒼衣は、熱中するダイビング以外の時間を持て余していた。そんなある日、ドルフィントレーナーの求人を父から聞き、泳げる仕事ならと試験を受けてみることに。難関の選考を通過し、晴れて採用された蒼衣は相棒のイルカ・ビビと共にショーデビューを目指して働き始める。所蔵館:中央館相棒のイルカと出会い、水族館のメンバーに支えられて一人前のドルフィントレーナーに成長する姿が描かれた小説です。陸王池井戸 潤/著集英社 埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のために、これまで培った足袋製造の技術を生かして、“裸足感覚”を追求したランニングシューズの開発を思いつく。所蔵館:中央館 高尾野館 野田館中小企業を中心とした人の生き様とものづくりへの情熱が描かれた物語です。2017年にテレビドラマ化されました。タクジョ!小野寺 史宜/著実業之日本社 高間夏子は四大卒の新人タクシードライバー。 女性客が安心してタクシーに乗れるよう、自分が運転手になると決めてこの道に進んだ。 女性運転手の比率はわずか3%。無賃乗車や強盗など不安要素も尽きないが、個性あふれる先輩や同期に励まされ、家族に支えられて、夏子は仕事や恋?に立ち向かう。所蔵館:中央館 野田館温かくて爽快な青春お仕事小説です。続編『タクジョ! みんなのみち』も合わせて読んでみてはいかがでしょうか。1・2月 ーテーマ:心温まる小説ー何度も読みたくなるような、心がホッと温まる本を紹介します。あずかりやさん大山 淳子/著ポプラ社 「一日百円で、どんなものでもあずかります」 東京の下町にある商店街のはじっこで、盲目の物静かな店主がひっそりと営業するお店「あずかりや・さとう」。 今日も誰かが、事情を抱えた「あるもの」を預けに店へやってきます。所蔵館:中央館 高尾野館お客さんや物などの語り手の目線で描く、優しさに溢れた連作短編集です。現在シリーズ5巻まで所蔵しています。手に取って読んでみてはどうでしょうか。コーヒーが冷めないうちに川口 俊和/著サンマーク出版 「過去に戻れる」という都市伝説を聞いて、今日もたくさんの人が訪れるとある喫茶店「フニクリフニクラ」。しかし、過去に戻るにはめんどうなルールがあるという。①過去に戻ってどんな努力をしても現実は変わらない。②過去に戻っても、座っている席を立つことはできない。③制限時間はコーヒーを入れてから冷めるまでの間だけ。コーヒーが冷める前に飲み干さなければならない。④過去に戻るための席には先客がいて、席を立った時にしか座ることができない。⑤過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない。所蔵館:中央館 野田館何をしても現実は変わらない。それでももう一度過去に戻って会いたい人がいる…。後悔を抱える人々がそれぞれの思いを抱えて過去にタイムスリップする、奇跡の感動ストーリーです。2017年本屋大賞ノミネート、2018年に映画化されました。他にもシリーズを3冊所蔵(中央館・野田館)しています。ツバキ文具店小川 糸/著幻冬舎 鎌倉で小さな文具店を営むかたわら、手紙の代書を請け負う鳩子。今日も風変わりな依頼が舞い込みます。友人への絶縁状、借金のお断り、天国からの手紙・・・・・・。身近だからこそ伝えられない依頼者の心に寄り添ううち、仲違いしたまま逝ってしまった祖母への想いに気づいていく。所蔵館:中央館 高尾野館2017年本屋大賞第4位。同年にテレビドラマ化されました。続編『キラキラ共和国』『椿ノ恋文』と一緒に読んでみてはどうでしょうか。めぐり逢いサンドイッチ谷 瑞恵/著KADOKAWA 大阪の靭公園にある「ピクニック・バスケット」は、笹子と蕗子の姉妹が営む手作りサンドイッチの専門店。お店には、ちょっとした悩みを抱えた個性的なお客さんたちが訪れます。所蔵館:中央館 高尾野館腹ぺこさん大集合!おいしそうなサンドイッチは食べてみたくなることまちがいなし!ほっこり心温まる物語です。続編『語らいサンドイッチ』と一緒に読んでみてはどうでしょうか。活版印刷三日月堂ほしお さなえ/著ポプラ社 川越の街の片隅に佇む印刷所・三日月堂は、店主がなくなり長らく空き家になっていたが、店主の孫娘・弓子が川越に帰ってきたことで営業を再開する。 三日月堂が営むのは昔ながらの活版印刷。活字を拾い、依頼に応じて一枚一枚手作業で言葉を印刷する。そんな三日月堂には色んな悩みを抱えたお客が訪れる。所蔵館:中央館活字印刷屋を舞台にした、活字と言葉の温かみに、涙が流れる優しい物語です。全6巻所蔵しています。泣きたい夜の甘味処中山 有香里/著KADOKAWAとある町にひっそりとたたずむ甘味処。熊と鮭が営むこのお店は夜だけの営業。仕事が上手くいかず会社を辞めてしまった人、大切な人をなくして悲しみにくれる人、子育てに疲れて息が詰まりそうな人…今夜も疲れて泣きたい人が不思議なこのお店にたどり着きます。お店で出されるのは、温かい飲み物と甘い物一品だけ。所蔵館:野田館主人公たちの知らないサイドストーリーも描かれ、互いの温かな思いに涙がこぼれる一冊です。第9回料理レシピ本コミック賞受賞。他にも『疲れた人に夜食を届ける出前店』もあります。ライオンのおやつ小川 糸/著ポプラ社 33歳の若さで余命宣告を受けた主人公の雫。 残りの日々を過ごすために瀬戸内海に浮かぶ美しい島のホスピスに移り住みます。 そこには毎週日曜日に入居者がもう一度食べたいおやつをリクエストできる「おやつの時間」があり・・・。 重いテーマを扱っていますが、小川糸さんの温かな文章に希望と癒しをもらえる作品です。所蔵館:中央館 野田館2020年に本屋大賞第2位受賞。2021年にテレビドラマ化されました。